現場が成長するためにメンターがすべき3つのこと
こんにちは!
みなさんは人材開発でどんなことをしてますか?
中にはマネージャーではないと言って、特に考えていなかったり、取り組んでいなかったりするかもしれませんね。
ただ、人材開発はマネージャーでなくとも、メンターとして同僚を支援する場面や後輩に物事を教える場面で必要となる視点です。
メンター制度も大事な人材開発制度。
メンターってなに?
って人はぐぐってみてくださいね。
組織の中の人は一人ひとりやる気もスキルセットも違うと思います。
その中で、メンターとして支援する相手(メンティー)の成長に一役買うのは大変ですよね。
もしあなたがメンティーの成長速度や結果が少しでもよくできたなら、所属組織にとっても価値あることですし、重要な役割を果たせてると思います。
本人の適正や頑張りに依存する部分は多いですが 👻
今回は、メンターが活用できそうな手法とその使い分けをまとめてみます。
その手法とはざっくり言えば対話。特にティーチング、コーチング、フィードバックに焦点を当てます。
対話することの本質とは?
対話はメンターとメンティーの関係性における土台となるので、まずは対話についておさらいします。
みなさんは議論と対話の違いをご存知でしょうか?
違いを知り、何が良い対話なのかを見出だせれば勝ったも同然、と私は思ってます。
対話の意味を知るためには、語源や類語から探っても良いですし、
(Discourse, Diatribe, Dialogue, Debateの語源とその違い)
昨今での役割の違いから探るのも良いですし、
(会話、対話、議論の役割とその違い)
ぜひ色々調べてみてください。
対話のポイント
勝ち負けを決めるのではなく、お互いの思いや考えを伝え合い、傾聴し合うこと。
お互いが本心や価値観を伝え合い、受け手としても良く吟味すること、
その結果として創り出す価値が最大化されることが重要だと考えています。
これだと抽象的で良し悪しを判断しづらいですね。
対話以外の影響が多いし大きいので、私の場合は対話でハッとした気づきの数や次の行動を決めて取り組めたか(行動目標)で一喜一憂します。
何が良い対話なのか、みなさんも考えてみてください。
エモい話はここまでにして、ここからはメンターが使う3つの手法を紹介していきます。
ティーチング
ティーチングで目指すのは、できないことをできるようにすること。
メンターはメンティーより知識か経験値が多いケースが大半かと思いますし、物事を教えるティーチングはイメージしやすいんじゃないでしょうか。
教える対象は色々。例えば、
- 一般的なビジネススキル
- 専門的なエンジニアリングスキル
- 組織独自のナレッジ、など
大抵のメンティーは最初が一番やる気があり知識や経験に飢えているので、素早く正しいティーチングができるかが重要。
上手くいけばメンティーができることはどんどん増えて、目に見えて成長してくれます。
一つひとつ教えてると時間はかかりますけど 😅
とはいえ、
やってみせ,言ってきかせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ
という名言にもあるとおり、メンティー自身に動いてもらうのは大変。
ティーチングの注意点
ティーチングするためには、教える側が基本を抑え、相手は何がどこまで分からないのか、どの程度教えれば良いのかを見極める力も必要。
魚じゃなくて釣り竿を与える的な教え方は、結果として短い時間で多くを学んでもらえるからオススメです。
例えば、Ansibleで書かれたサーバ構築の秘伝のタレを渡す。のではなく、Ansibleについて説明したり、Playbookの中身や設定値の意味合いを教えたり。
コーチング
コーチングで目指すのは、メンティー自身で気づき、考え、行動してもらうこと。
十分なスキルや学び方を身に着けているなら、すべてを一から教える必要はありません。
また、難しい課題ほど解き方が複数あり、正解は一つではありません。
メンティー自身に考えて解いてもらうことで、より良い方法を見つけてもらいながら経験から得られる学びを大きくしましょう。
メンターに求められるのは、適切な態度、質問、支援をすること。
何が適切かは難しいですが、私が大事だと考えてるのは、観察と傾聴。逆に不要なのはメンター自身のエゴ。
相手の状況を把握し、本当に困っていることや不足していることを感じ取り、相手のために必要な質問を必要なタイミングでしましょう。
例えば、スキル不足で仕事が上手くいかないという状態でも、
- 素養も興味もないスキルが求められて困っている状態
- 忙しすぎて仕事をする時間もスキルを得る時間もない状態
- 課題や成果物が定義されてないため、なんのスキルが必要なのか分からない状態
のどれなのかで、メンターがとるべき言動は全く異なります。
私がやる基本的なコーチングとしては、
- 相手がすでに解決に向けて行動しようとしているなら背中を押すように質問する
- いくつか選択肢があって困っているなら、メンティー自身が深く考えられるように質問(なぜそれがよいと思うの?、など)する
- 課題が大きすぎて何も考えが浮かんでいないなら、状況を整理したり(その状況であなたやわたしができることは何?、など)、課題を分解してみる(課題の中で何に一番困っているの?、など)
ケースバイケースなので一概には言い切れませんが。
自ら気づき、学び、行動することで、メンティーのやる気も成長スピードも高まります。
コーチングの注意点
メンター自身のエゴ(例えば競争心や単純な興味関心)で相手を貶したり、面白おかしく質問するのはやめて欲しい。
メンティーににとってなんの学びもないし、やる気を削ぐだけです。
また、メンター自身が詳しくない分野でもコーチングはできます。
思い悩むことに共感したり、困っていたり立ち止まっていることの本質がなんなのか、一緒に探ればメンティー自身でどうにかしてくれます 😉
フィードバック
フィードバックで目指すのは、メンティーが自分自身について理解し、可能性を広げること。
例えば、メンターの主観や客観的事実として相手の本質や思い込みを伝えたり、無意識に避けているトラウマや殻に目を向けてもらったり。
フィードバックは、やるのは簡単ですが、上手くやるのは難しいです。
「あなたが思う相手」と「相手が思う相手」は何かしら違うので、まずは「あなたが思う相手」の印象や特徴をそのまま伝えるだけで大丈夫です。前提スキルも事前の傾聴も不要。
ジョハリの窓でいう盲点の窓を開き、相手の可能性を広げましょう。
メンティーが無意識に感じているトラウマや壁、殻のようなものをあなたが感じたなら、それを印象として伝えることで、メンティーは自らについて深く考えてくれます。
自らの本質に気づいてもらうことで、生きる意味や天命を見つけてくれるかもしれません。
結果として、メンティーが物事に全力で取り組み、不要な仕事を取捨選択するかもしれません。場合によっては異動を希望したり組織を去ったり。
それらは人生のターニングポイントとなるかもしれませんし、幸せに生きるために必要なことかもしれません。その手助けができたなら最高の経験だと思います。
フィードバックの注意点
フィードバックは危険も伴います。
トンチンカンなことを言ったり、信頼関係が不足したまま厳しいことを言ったりすると、修復不可能な関係性となる可能性があります。
相手が精神的苦痛から倒れてしまうこともあるでしょう(これはただのハラスメント)。
そうならないよう、全力で相手や全体を考え、深く関わる覚悟を決め、慎重に慎重を重ねてフィードバックしましょう。
各手法の使い分け
現場の成長曲線で参考になるものに、SL理論というものがあります。
やる気とスキルが揃っていることがベストですが、往々にしてベストな状態にたどり着くまでには時間がかかります。
やる気があってスキルがない状態なら、ティーチングでスキルを充実させましょう。
自ら気づき、考え、行動してもらうことを期待しているならコーチング。
スキルが足りない相手でも、能動的な解決が求められる現場ならティーチングとコーチングのバランス型でいきましょう。
相手に深く内省を促したかったり、大きな変化を期待する状況ならフィードバックで考えてもらいましょう。
加えて、あなた自身へのフィードバックをメンティーにお願いするのも面白いと思いますよ。
あなたが気づいていない強みや弱みがあるかもしれません。
最後に、ティーチングもコーチングもフィードバックも銀の弾ではありません。
ケースバイケースで上手く組み合わせることが大事です。
小さくはじめよう
あなたが置かれている状況は? 何が課題で何を求められているの?
ティーチングもコーチングもフィードバックも奥が深いから、今一番必要とされていることを学び、実践してみてください。
もちろんバランスよく組み合わせても良いですし、すでに使いこなしているならこの記事に対してツッコミを入れてください。
終わりに
今回は人材開発手法として、ティーチング、コーチング、フィードバックをまとめてみました。
これらを活用しただけではベストな人材開発とは言えません。
みなさんがいる組織や状況によっても何がベストかは変わります。
一から教えなきゃいけないのに時間がなかったり、やる気がない相手が言ったことをやってくれなかったり、出来杉君で何のホウレンソウもなく想定外の話が進んでいたり、など。
現場特有の課題もあると思いますので、周りの仲間やこのブログをとおして何が良い人材開発なのか議論し続けましょう。