ざっと読みでの書評・レビュー【スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術】
こんにちは!
今回は【スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術】のざっと読み書評・レビューです。
オススメ度
オススメ度は0~10のうち「8」。
著者はスクラム考案者のジェフ・サザーランド氏。
ざっと読みと言いつつ何度か読み直しているのですが、スクラムの基本と組織の行く末を示してくれている名著です。
スクラムのはじめ方はもちろん、その歴史的背景からより良い人生に至るまでの至言が溢れています。
各章の最後にまとめもあり、ざっと読みしやすいのもポイント高し。
ただし、洋書全般に思うことですがエピソードや哲学的な話題が多いので、慣れてないと読み進めるのが大変かもしれません。
書籍の概要
スクラムをはじめるために必要な最低限の考え方を身に付けられる書籍です。
理解を深めたい方は、スクラムが考案されたその歴史的背景を読み取り血肉にしましょう。
上手くやり方を模索している方は、著者が考えるスクラムを発展させる考え方や幸せを求める旅路を読み取り、守破離を体現しましょう。
この書籍は、スクラムを活かし切るためにスクラムを超えていく気概を感じます。
あらすじを抜粋するとこんな感じです。
GoogleやMicrosoft、FBIでも採用!
最強のプロジェクト管理法「スクラム」考案者による完全ガイド
「興味深いエピソードと実例が満載。スクラムは、生産性を高めるツールとしてハイテク企業のあいだで最も普及しているプロジェクト管理法だろう。本書は、あらゆる業界のビジネスパーソンにこのツールを伝授するという目的を見事に果たしている」
――エリック・リース(『リーン・スタートアップ』)
あなたの仕事の85%はムダ!
納期遅れ・予算オーバーが当たり前だったソフトウェア開発の現場で、いまや世界的に絶大な支持を集めるようになったプロジェクト管理法「スクラム」。その生みの親が、最少の時間と労力で最大の成果を出すチームの作り方を伝授する。住宅リフォームや結婚式の計画から、FBIのデータ管理、さらに宇宙船の開発まで、スクラムが革命を起こす!
●計画は最初から固めるな
●チームは最大9人まで
●多機能なチームを作れ
●肩書は捨てよ
●リーダーは「ボス」ではない
●仕事は「スプリント」に分割せよ
●スプリントの最後には成果物を出せ
●仕事はストーリーでとらえよ
●タスクは付箋で管理せよ
●毎日の会議は15分で強制終了
●会議では3つの質問だけ聞け
●マルチタスクは厳禁
●仕事をしすぎるな
●無駄は「罪」である参考 Amazon参考
オモシロポイント
スクラムをはじめるために必要な最低限の情報はもちろん面白く、参考になります。
ある程度スクラムに理解があるなら、この書籍からはそれ以上に面白い気付きを得られると思います。
全9章から構成されていますが、いずれの章も示唆に富むエピソードとそこから導き出される考え方がまとめられています。
私が特に面白いと感じたポイントは、3つ。
- 第3章のチーム
1食ピザ1~2枚分で賄えるチームが、仕組みや支援を整えれば1組織として世界を変えるほど活躍できる可能性があること
一人ひとりを信じ、Howを任せて成長と成果を両取りしたいと思う - 第4章と第5章の計画遂行
過去の実績から戦略的かつ現実的な計画を組み、実現するためにチームがベストを尽くすこと
ムダ・ムリ・ムラをなくし、正しくTry&Errorを繰り返したいと思う - 第7章の幸福
現状を改善するだけでなく、未来を創るために組織やその中の人の幸福とパフォーマンスに焦点を当てること
良い人生を高い成果とともに得たいと思う
ざっと読みで得られた気づきや学び
- 改めて気付かされるスクラムの基本とはじめかた
- ウォーターフォールで計画通りいくことが難しい原因、変化と適応のサイクル
- 製造業の生産現場や経営層の意思決定など、ソフトウェア開発以外の状況
- チームのコミュニケーションルート数(n人 * n-1人 / 2)とその複雑性
- 日本文化との高い親和性(例えば、守破離、武道、PDCAサイクル)
- 幸福度をはじめとする定性評価と成果との紐付けによるラーニングゾーン作り
- マネージャーやリーダーの役割を超えて、ボトムアップ型の変革を支援すること
- ソフトウェア開発にとどまらず、スクラムで教育や社会問題を変える可能性
次読むときの書籍への問いかけ
- 実行責任と説明責任が重くのしかかる現状に対し、人材開発や支援の仕方は?
- どれだけ見える形で成果とその過程を築けば周囲を納得させられるだろうか?
- ヒエラルキー型の組織における、変化を起こすことへの拒絶を崩す術は?
- オレオレスクラムで自己満足にならないよう守破離を進めるには?
- 理想のチーム(限界突破、主体性、機能横断的)を組織に広めるには?
おわりに
スクラムは今や開発現場のデファクトスタンダードかもしれません。
どんなケースでもアジャイルが、スクラムが正解。ということはありえないと思いますが、変化の波に上手く乗って生き残るにはTry&Errorが重要だと思います。
また、チームや組織によって挑戦や変化の難易度は異なるでしょう。
正直、私や私が所属する組織ではまだまだ活用しきれていません。
それでも学び、説明し、実行し、結果を出し、それらを継続することで徐々に影響範囲を広げたいと思います。
みなさんもぜひ一緒により良い仕事を実現していきましょう。